町街さがし

Vol.04「柏」

ひょんなことから茨城で打ち合わせをしていた某氏の車にて柏に寄った。

不意にさほど縁もゆかりも無い街に訪れるとワクワクする。そして電車ではなかったこともあり改札を抜けてから街の入り口感を味わっていないので自分が柏の何処にいるのかもわからない。

某氏から許可をもらって小1時間ほど周辺をブラブラとさせてもらった。

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車を止めたコインパーキングからちょっと大きめな通りに出た。どちら方面に向かおうかと味のある建物を信号の向こうに見ていると「柏駅行き」のバスが通りかかった。

駅はあっち方面か。

駅から始まる街並みじゃ無い感覚も悪くないなと、とりあえず駅を確認するようにバスが行く方へと歩き始めた。

何処となく自分が多くの時間を過ごした横浜周辺のベッドタウンのような街並みのようだと感じ少し懐かしくなった。

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少し歩くと駄菓子と花火の卸し問屋さんが目に入った、柏はもしかすると花火で有名なのかな?と思いポケットからiPhoneを取り出し調べた。どうやら毎年柏から近くの手賀沼花火大会があるらしく少なくとも花火の情報は得られた。気がついたら21世紀になって数年、すぐに調べ物や情報を得られる。だが一方でそのすぐに得られる情報が貴重ではなく希薄になってしまっているように感じてしまい、すぐに”あの頃は良かったなー”とか言ってしまうオジさん世代に自分も気付いたらなっていた。すぐにiPhoneをしまい周りの街並みを楽しむようにしようと顔をあげ歩き始めた。

するとすぐに情報量の多い小屋が目に入って来た。

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駐車場の料金所っぽいが建物がホームセンターで売っているログハウスのような作りでタバコも売っている。凄く気になる…。中に人がいたのでちょっと話を聞いてみたくなり声をかけたが「今、忙しいから」と断られて詳細を聞けなかった。せっかくiPhoneで調べないでそこにいる人に聞いてみようとしたのに残念だ。やはりそういったテクノロジーの発達で人付き合いも希薄になってしまっているんだなと肌で感じた。

でも、まぁ天気が良いから不思議と全てが良くなってくる。これがiPhoneなどで調べても得られない街の空気感かなと交差点で陽の光を浴びながら深呼吸をした。

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もうこの通りの先に駅へと繋がる商店街が見えて来た。駅に近づくにつれ活気がある様子が伺えて嬉しくなってきた。

信号を待っている間、あたりの様子を伺いキョロキョロとしていたら神社があることに気がついた。

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ああ、やっぱり神社がある街って良いな。と自分の街に対するフェチシズムを再確認する。そこから一気に駅方面へと向かうと商店街にスーパーに飲食店にと賑わいが出てくる。さっきの神社がある場所あたりがちょっとした結界なのかな?とか思いながら駅へと近づくと富士そばがあることを確認して都心に近い街の雰囲気を感じて駅前ロータリーへと出た。

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いつものように駅からを支点としてブラブラと街を歩くのではなく、駅から離れた場所に車を止めて駅を目指して歩いて行く街歩きは一風変わっていてまた街並みの感じ方も違う。百人いれば百通り、街の感じ方も違う。もっと色々な街をブラブラとしたくなってしまった春のような陽気の柏でした。

 

著_柳町唯
1993年~1996年AJSA公認プロスケーターとして活動。
その後はスケートボード専門誌、ファッション誌、カルチャー誌などで編集/ライターとして活動。
2012年には自身のスケートボードキャリアを活かしたブランドSNAKE PORNO通称スネポルを立ち上げる。
2019年9月に自身初となる短編青春小説「Big Pants -スケートボード is 素敵-」をHIDDEN CHAMPION発行の元、
星雲社より発刊。

スネポルHP_ https://sp-wheels.com
柳町唯 VHSmag インタビュー_ https://www.vhsmag.com/features/yuh-yanagimachi/
2020-03-05 | Posted in 町街さがしNo Comments » 
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