町街さがし(グルメ編)
「鈴木酒販」
まだ明るい時間、陽が延びたといえば延びたような感じがする2月の夕方、小綺麗な酒屋の前を通りかかった。
広めな店内の片隅にカウンターが見えた。角打ちだ。俺は嬉しくなりすぐさま入りたくなった。だって三ノ輪で角打ちだなんてかなり本場でしょ。おのずとテンションが上がってくる。
ちょっとお店を通り越して深呼吸してから、今日の自分のスケジュールを再度確認して時計を見ると16:11。絶妙な時間だ。まだ勤め人は働いている時間。一瞬迷いが生じたが、まぁ、これも縁ということで引き返して鈴木酒販へと吸い込まれるように入った。
カウンターはまだ先客がいないようだ。とりあえずカウンター下の棚にカバンとアウターを入れてメニューを見る。
やはり酒屋だし、まだ外は明るいしちょっと小粋に最初から日本酒にして通ぶってみようと、佐賀県天山酒造の七田を注文。レジカウンターでキャッシュオンというのがこれまた角打ちの醍醐味。手持ち予算の調整が簡単だ。そしてそのまま肴にいかうにあえ、鮭パテを注文。合計900円とさすがのコスパだ。
レジカウンターの奥にビアサーバーもありIPAも飲めるらしい。凄いぞ、凄いぞ鈴木酒販。こんな店が家の近くにあったら良いなと思いながら、注がれている七田を見る、美しい。まだ陽が落ちる前の日本酒はなんて美しいのだろうか。惚れ惚れしてしまう。そして約90ccほどで300円。パーフェクトである。
ほどなくして肴のいかうにあえ200円と鮭のパテ400円が運ばれてくる。いかうにあえなんて見るからに酒を盗んでいくこと間違いなしなルックスだし、鮭のパテなんかクラッカーも沢山だしこりゃたまらん勢い!
おのずとお酒のペースも上がってしまい。すぐさま2杯目に滋賀県美富久酒造の美富久300円を注文。こちらは個人的な感想だがちょっと紹興酒っぽいフレイバーで鮭のパテとの相性も抜群。気付くとあっという間に完飲、完食。時計を見るとまだ16:49。会計は1200円といった具合。ちょうど良い。ちょうど良すぎる。
角打ちには長居は無用とジェントルぶって颯爽と店を後にした。だが、ちょっと残念だったのは、こちらのお店のコアタイムにて常連さんや他のお客さんの飲み方や注文も見てみたかったなと少し後ろ髪を引かれた。次回はもうちょっと遅めに、もちょっと長居してみたいなと思い、陽が落ちるとまだ寒いであろう外の風に吹かれ日本酒のおかげか少し火照る体が心地良く帰路へとついた。
【店舗情報】
鈴木酒販
住所/東京都台東区根岸5-25-2
営業時間/11:00〜21:00
定休日/水曜
星雲社より発刊。