町街さがし(グルメ編)
「ステーキしのだ」
湯島天満宮の大鳥居の少し坂の上にあるステーキしのだ。一見するとちょっとしたスナックのような店先の雰囲気にランチ営業など皆無のようなお店だが11:30〜13:30と少し短めなランチ営業をしている。
猛烈に入りにくく中の様子が全く伺えない店内に意を決して入店する。まさかのお客さん0である。そうか、もう13:30ギリギリな時刻であった。メニューはステーキカレーの一択のみ。なので注文も聞かれずに当たり前かのように麦茶といきなりサラダを出される。まさかのサラダの器が割れていてドレッシングが溢れてきていたが酸味の強いドレッシングだったのでちょっと溢れたくらいがちょうど良い美味しさだった。これも一つのアトラクションとして自分は楽しむことにした。
でかい鉄板2枚を囲む形である席に対していつもそこで焼くのかもしれないが、せっかくなら正面で焼いてカレーに盛り付けて欲しかったな。と思うもきっと店主はシャイなんだろうなとその焼き姿の背中を見守ることにした。
これといった山場もなくステーキカレーが配膳されて来た。福神漬けとらっきょと共に。
うむ。
可もなく不可もなくなステーキカレーだ。店内に入った時から想像していた通りのものが目の前に出て来た。それはそれで凄く良い。
ステーキ肉の量も結構あり、メニューのステーキカレーがカレーステーキではなくカレーの前にステーキを持ってくる形なステーキカレーなネーミングなのも納得だ。そんなことを思い黙々と食べていると目の前の鉄板でまたもや動きが。
まさかの鉄板に直にヤカンである。食後のコーヒー用に湯を沸かしてくれているのでるがちょっとびっくりしてしまった。そんなヤカンから上がる湯気を見ながらステーキカレーを食べていると、はたしてこのステーキ肉がどれくらいなグレードのものかも全く想像がつかず、少し店内の雰囲気に圧倒されたまま完食してしまった。美味しかったがちょっと不完全燃焼だ。もうちょっとお肉を味わって食べるべきだった。
そんなヤカンから注がれたお湯でドリップされたコーヒーが食後に出て来た。食べ終わった皿を下げる時にサラダの器が割れていたことに気付き謝られたがそんなことはさほど気にしていなかったからもうどうでも良い。この純喫茶のようなコーヒーを嗜みながら俺はこう考えていた。
「足りない…。もっと量を食べたかった」
俺の胃袋はまだランチを求めていたのである。我ながら恐ろしい。そしてこのお店の坂の下にある湯島ハイタウンの中にパン屋さんがあるのを思い出した。ごちそうさまと告げ会計をすませる。ステーキカレー1400円。少し高いと感じたがこの店内の雰囲気と鉄板での調理を考えると安いのかもしれない。まったくもって全ての基準がもはや自分の物差しでは測りきれない領域に達しているこの店に外装をもう一度見て感じた。
この雰囲気は絶対に美味しいおかずパンを売っているはずだ。店内に入りパンを2つほど選び、店内の写真を撮っても良いかと確認をする。無愛想に良いですよとの返答。下町感はあまり感じないやりとりだったがこの大きな湯島ハイタウンで長年やってきてたどり着いた接客テンションなのだろう。店主の風貌にも年季の入ったオーラを感じた。
エッグトーストとNYクリームチーズパイを購入し俺はニューヨーカー気取りで自分の事務所ある雑居ビルの階段を駆け上がって帰ってから食べることにした。
【店舗情報】
ステーキしのだ
住所/東京都文京区湯島4-5-8
営業時間/11:30〜13:30 (ランチは平日のみ) 17:00〜22:00
定休日/なし
【店舗情報】
パスコショップ レピ
住所/東京都文京区湯島4-6-12 湯島ハイタウンB棟
営業時間/8:00〜20:00
定休日/日、祝
星雲社より発刊。