町街さがし
Vol.12「南新宿」
大都会新宿のお膝元、もう目と鼻の先は新宿の高層ビル群ばかりなのですが何処か哀愁のある面持ちを今も残すローカル駅。
南新宿は明治神宮とJR代々木駅とのちょうど間に位置する渋谷区は代々木に属する場所。そうなんですよ。新宿って名前がつくのに渋谷区。あの新宿駅でさえも新宿区と渋谷区をまたいで位置しているので、それよりも代々木寄りになる南新宿駅は余裕で渋谷区です。
ちょっと調べたついでな豆知識ですが、南新宿駅ですが乗降人員は小田急電鉄の江ノ電や多摩線も入れた70駅中で69位とまさかの下から2つ目なんです。新宿と名乗っていながらも少ない乗降人員を誇っております。
駅を出て右手へ歩いて行くと代々木商店街と風情たっぷりなローカル感溢れる町並みが出迎えてくれます。看板も無い生活必需品のお店など、こういった町並みは下町感DNAが落ち着きます。
ですが、そこは渋谷区。いきなりダンス教室がストリートダンスです。やはりHIPHOPが根付いてますね。そう、自分の世代は特に悪そうな奴は大体団地育ちです。
駅から左手は普通な住宅街なイメージですが、すぐに新宿ということもありなかなかな立地の良さです。そのまま新宿方面へ抜けてしまうと本当にすぐに京王新線の新宿駅に出てしまうので今回は代々木方面へと探索。
一旦、駅前に戻り駅横に線路に沿っている小道へ。夏休み満点なローカル感が溢れている線路横の小道はなんだか、かせきさいだぁの「じゃっ、夏なんで」が似合いそうな雰囲気にノスタルジックになっちゃたりして、時折吹き抜ける風に「なんか、いい風」とか呟いちゃうような夏のヒット曲感満載な小道でした。
そんな小道を抜けると一方通行の高架下に遭遇。制限高さ2.3mというちょっとしたNBAプレイヤーさんだったら頭当たっちゃうでしょ!(ジョージ・ミュアサン選手で2.31mと、この高架下より1cmほど高い!)な高架下に入ると上には近すぎる距離で小田急線が走り抜けて行った。
その高架下から参宮橋方面に向かってみることにした。こちら側も閑静な住宅が立ち並んでいて、その中でも雰囲気のある建物もあり商い暮らしのサイト的にもグッとくる物も多数。やはり町ごとに面持ちってものがありますね。風情とワビサビが街角ごとにある感じがして、角を曲がるたびに町歩きの楽しみが溢れ出て来ます。
そんなこんなを考えていたら凄く素敵な邸宅に。緑生い茂る庭は涼しげで、古き良き家屋は手入れも行き届いているようで、すっかり目を奪われてしまいました。こんなお家の縁側で夏を感じれる人生を送ってみたいものだな。と思いながらその邸宅を通り過ぎるとすぐ目の前には代々木一丁目の信号が現れた。
信号の前で来た道を振り返る。飲食店の入ったビルにはグラフィティが描かれ、その路地の向こうには新宿NTTビルが思いのほか近くに見えた。
著_柳町唯
1993年〜1996年AJSA公認プロスケーターとして活動。その後はスケートボード専門誌、ファッション誌、カルチャー誌などで編集/ライターとして活動。2012年には自身のスケートボードキャリアを活かしたブランドSNAKE PORNO通称スネポルを立ち上げる。2019年9月に自身初となる短編青春小説「Big Pants -スケートボード is 素敵-」をHIDDEN CHAMPION発行の元、星雲社より発刊。2020年にはスネポルからブランドをBACANCES ALLINCULSIVEに移行し運営。
小説Big Pants_https://shop.hiddenchampion.jp/products/145235531