町街さがし(グルメ編)
「割烹 望月」
東京卸売りセンターことTOCのお膝元、西五反田エリアの裏路地にひっそりと貫禄たっぷりな年季の入った店構えで割烹 望月はあった。
最寄駅は大崎広小路駅になるのだろうか、そもそも五反田駅からさほど離れていないこのエリアはきっとランチ激戦区であろう。
店先のメニューを見るふりをして店内を伺う。だが一向に店内の様子もわからず思い切って入店。引き戸を開けるとそこは13時半くらいだというのにほぼ満席。少し怖気付いてしまう自分に気がつく。店員さんがすぐにカウンター席の端を片付け「ここどうぞー」と案内されカウンターの端に小さく座る。すごく人気店なのが店内の活気から伝わってくる。これは当たりだ。
そして店内も外に置いてあったメニューと変わらずなものがあり、しばし悩むことに、サービス定食600円に狙いを定めているのだが二品を選ぶ選択枠が多過ぎる。鯖塩焼き、アジフライ、マグロぶつ、中おち、イカフライ、はまち刺、えびフライ、揚げシュウマイ、ハムカツそしてメンチカツ。今書き出していて揚げシュウマイがあったことに気付くくらいだから、自分は注文を悩んでいる最中はきっとメニューを把握できていなかったことだろう。
そして悩みに悩み、えびフライとハンバーグを注文。そうするとすぐさま店員さんに「一品サービスは?」と聞かれメニュー右の丼ぶりセットの下に書かれた一品サービスの中から選ぶように言われた。600円の定食で三品つくのか凄いな。と思い一品サービスの欄に目をやると、五目ひじき、しらすおろし、切干大根煮、明太子、焼き海苔・生卵、とろろ、焼き海苔・梅干、めかぶ、生玉子、梅干、納豆、ポテトサラダ、冷奴。とこれまた選択枠が多過ぎる。
ポテトサラダを頼もうとしたら切干大根煮の”煮”が気になってしまい切干大根煮をオーダー。注文までに時間がかかってしまい割烹 望月初心者と店内にバレてしまった様な気がして少し気恥ずかしい。
そうこうしているとすぐさま切干大根煮だけ出された。あっけに取られたが期待に反して普通の切干大根だった。そして何故か注文したものが個別に出てきて全品揃いようやく箸を持つ前に手を合わせ心の声で「いただきます」と頭の角度を二度くらい下げた。
まずは切干大根煮から頂くことに、美味い、、、これはかなり期待できるぞ!と続けざまにエビフライを頬張る。ちゃんとに均等な衣の中にしっかりとエビが入っている。「これで600円ってどうかしているぞ、このお店は!」と思いながらご飯、味噌汁とルーティンを組んでハンバーグへ。こりゃたまらん。ハンバーグが無くても600円でコスパ最高!ってなテンションだったのにハンバーグも申し分なく美味し過ぎる。一瞬自分が昭和後期にでも迷い込んでしまったかと心配になる様な価格と店内の雰囲気でしたが、カウンター席の隣についたタクシーの運転手さんがiPhoneをいじっていたので令和だと確認出来て変に安心してからまた切干大根煮を口へと運んだ。
後からくるお客さんがメニューも見ずに魚系の注文ばかりしていく中、自分はエビフライにハンバーグっていうのは失敗だったのかなー?とも思ったが美味しかったので良しとしよう。次回行ったら絶対に魚系なフォーメーションの注文をしようと思う。そして夜営業の居酒屋もかなり気になるのでこちらもこちらできてみたいなと深く思い、コスパ良過ぎる定食600円を店員さんに1000円札で支払いエプロンのポケットからジャラっと100円玉4枚を渡され「ありがとうございました!」の声を背中で聞きながらお店を後にした。
【店舗情報】
割烹 望月
住所/東京都品川区西五反田7-9-10
電話/03-3492-5874
営業時間/月〜金 11:00〜14:30 (夜間居酒屋営業)
定休日/土曜、日曜、祝日
著_柳町唯
1993年〜1996年AJSA公認プロスケーターとして活動。その後はスケートボード専門誌、ファッション誌、カルチャー誌などで編集/ライターとして活動。2012年には自身のスケートボードキャリアを活かしたブランドSNAKE PORNO通称スネポルを立ち上げる。2019年9月に自身初となる短編青春小説「Big Pants -スケートボード is 素敵-」をHIDDEN CHAMPION発行の元、星雲社より発刊。2020年にはスネポルからブランドをBACANCES ALLINCULSIVEに移行し運営。
小説Big Pants_ http://shop.hidden-champion.net/?pid=145235531